日本作物学会紀事
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栽培
ハトムギ (Coix lacryma-jobi L. var frumentacea Makino) における栽植密度と生育·収量の関係
中野 尚夫氏平 洋二石田 喜久男
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2003 年 72 巻 1 号 p. 32-37

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抄録

株·条間20, 25, 30, 40, 60cmの正方播 (25.0, 16.0, 11.1, 6.3, 2.8株/m2) と条間60cm×株間30cm (同5.6株), 同60×20 (同8.3株) の条播のもとで, ハトムギ (Coix lacryma-jobi L. var frumentacea Makino) における栽植密度と生育·収量の関係を水田転換畑において検討した. 11.1株/m2より低い栽植密度では, 茎葉重, 子実重 (殻実重) および全重とも密植ほど高かったが, それ以上の栽植密度では, 密植ほど殻実重が低下し, 茎葉重の増加程度が小さくなって, 全重が一定となった. 密植では分枝の発現抑制と発生分枝の生存率の低下によって茎数が減少した. そして, 茎葉重は茎数とr=0.884**, 構成茎の合計節数とr=0.829**の高い相関関係にあった. 着苞数は, 合計節数が1000/m2程度で最も多く, それより少なくても多くても少なかった. このため, 栽植密度との関係では, 着苞数は11.1株/m2以下では密植ほど多かったが, それ以上では密植によってやや低下する傾向であった. 構成茎は, いずれでも, 栽植密度が高くなると茎径が細くなり, 苞の着く位置の幅が短くなって, 節当たり着苞数が減少した. これらから, 密植では構成茎の生育が抑制され, それに応じて着苞数が低下すると考えた. なお, 着粒 (殻実) 数は着苞数と高い相関関係 (r=0.859**) にあり, また栽植密度が高くなると不稔殻実の割合が高くなった. 以上からハトムギでは, 構成分枝間の競争による分枝数増加程度の低下, 茎当たり着苞数の減少によって, ある栽植密度 (正方播では11.1株/m2程度) 以上では, 密植ほど着苞数, 着粒 (殻実) 数が少なく, さらに不稔殻実数が増えて, 収量が低下すると考えられた.

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© 2003 日本作物学会
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