抄録
北部九州におけるダイズの安定多収栽培技術を確立するために, 過去15年間におけるダイズの収量および収量構成要素と時期別気象との関係について解析した. 収量と密接に関係があると認められた収量構成要素は, 百粒重とm2当たり整粒数およびm2当たり稔実莢数で, なかでも百粒重とm2当たり整粒数は収量に対する寄与率が高かった. 収量および収量構成要素と時期別気象要因との間には直線的な関係は認められず, 収量, 百粒重およびm2当たり整粒数は開花期∼子実肥大初期の気温との間にそれぞれ有意な二次曲線の関係が認められ, m2当たり整粒数·百粒重ともに最適温度は25°C前後であった. さらに, m2当たり整粒数は子実肥大初期∼成熟期の多照で増加した. m2当たり稔実莢数は開花期前後1週間の降水量と曲線的な関係が認められ, 130mm以下の乾燥状態では降水量が多いほど, m2当たり稔実莢数が増加することを示した.