食用カンナ (Canna edulis Ker–Gawl.) における生育中期以降の倒伏発生の要因について, 地上部の形態形成と関連させつつ数理モデルを用いて解析した. 生育の旺盛な地上部は, 側面からみた投影面積が大きかったが, それは草高, 株元の幅および立毛角の3種類のパラメータにより決定されていた. 倒伏の発生要因は主として大型地上部の形態形成と関係があり, 風によって植物体に加わる外力に関しては大きな投影面積に, 自らの重さによって植物体に加わる内力に関しては大きな自重転倒モーメントに原因があった. 生育後期になると茎が傾斜するのは根茎の肥大によるところが大であり, 収量形成の観点からは草高を2m程度にまで短縮することがよいと結論された. このことにより, 生育中期以降に倒伏を起こす危険性を, 外力においては投影面積の縮小により約10~20%, 内力においては自重転倒モーメントの減少により約50%軽減する効果のあることがわかった.