日本作物学会紀事
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栽培
砂丘畑栽培ダイズに対する潅水の効果
中野 尚夫泉 拓史大西 政夫
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2005 年 74 巻 4 号 p. 404-409

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抄録
1999, 2000, 2001, 2003年の4年間に砂丘畑(砂丘未熟土)では萎凋・枯死を避ける程度の潅水(節潅水栽培), 普通畑(赤色土壌) では無潅水でダイズを栽培し, 栽培期間の6月~10月の降雨量と子実収量の関係を検討した(実験1). また1999年には, 砂丘畑において慣行の潅水(潅水区)のもとで栽培したものと生育・収量を比較した(実験2). いずれの年においても砂丘畑での収量は普通畑のそれよりも低かったが, 降雨の多かった2001年には普通畑のそれと大差なかった. また, 普通畑ではいずれの年の収量にも大きな差がなかったが, 砂丘畑では栽培期間中の降雨が多い年ほど子実収量が高く, 栽培期間中の降雨量と子実収量との間にr = 0.80(P < 0.20)の正の相関関係があった. 実験2の潅水量の比較では, 節潅水区は潅水区に比べ, 降雨の少なかった7月上旬から8月中旬の乾物生産量が著しく少なかったが, 降雨量が少なくなかった8月中旬以降の乾物増加量には差がなかった. 生育量が小さかった節潅水区は灌水区に比べ, 草丈, 主茎茎径, 分枝数が小さい値になったが, 主茎節数には差がなかった. 節潅水区では, 降雨の少なかった7月上旬から8月中旬の分枝発生数が少なく, 分枝の節数増加も劣った. このため, 節潅水区では分枝の節数が低下して総節数が減少し, さらに結莢率の低下, 不稔莢の増加も加わって稔実莢数が総節数以上に減少した. 一方, 8月下旬以降の降雨量は少なくなかったが, 節灌水区の百粒重は灌水区よりも小さかった. これは, 9月でも3日以上降雨のないことが3回もあり, 継続して土壌に水分が十分保持されなかったことによると考えられた.
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© 2005 日本作物学会
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