日本作物学会紀事
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収量予測・情報処理・環境
近年の日本における稲作気象の変化とその水稲収量・外観品質への影響
河津 俊作本間 香貴堀江 武白岩 立彦
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2007 年 76 巻 3 号 p. 423-432

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抄録

近年わが国では夏期の気温が上昇傾向にある. こうした高温化傾向に向けた水稲生産の品種および耕種的な対応に資するために, 1964年から2003年までに生じた水稲栽培における気象変化を定量化し, それが水稲生産に及ぼした影響を解析した. この40年間で夏期の大気二酸化炭素濃度は45ppm上昇し, 最高気温は約0.8℃, 最低気温は約1.1℃上昇した. またこの期間に品種および作期の変化により関東以西で出穂盛期が1~2週間早期化したが, それにより出穂前の気温は低下し, 出穂後の気温と日射量は増加する傾向がみられた. これらによる水稲生産性の増加率は地方によって異なるが, 二酸化炭素の増加によるものが2.5%, 気候変化によるものが-6.0~3.1%, 早期化によるものが-0.5~6.8%であると見積もられた. このうち気候変化については, 関西以西において日射量の増加によるプラスの影響が, 気温の上昇により打ち消されていたことがわかった. 分散分析と重回帰式を用いた分析により, 出穂盛期後10から30日までの平均最低気温が1℃上昇することにともない一等米比率は平均で3.57%低下し, 同期間の日射量が1Mj増加することにより2.59%増加することが示された. 高温化傾向の対策としては作期の移動だけでは不十分であり, 高温耐性品種の育成や施肥法の改善など総合的な対策が収量や品質維持のために必要であると考えられた.

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© 2007 日本作物学会
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