日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
世界気象資料の活用について
本間 香貴堀江 武白岩 立彦
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2007 年 76 巻 3 号 p. 464-467

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抄録
気象庁が収録している世界気象資料について紹介した. この資料には気象観測値として気圧や気温, 降水量, 天気などが収められており, 日別統計値の場合そのデータポイントは1982年以降が世界各地約400地点, 1999年以降は約3000地点に及ぶ. しかしながら日射量や日照時間についてのデータが無いため, 資料の中に含まれる雲量と日平均水蒸気圧を用いて日射量を推定する方法について検討を行った. 日本における観測値を用いた場合, 日照時間を用いた日射量の推定がRMSE=2.2 Mj m-2 day-1であるのに対し, 雲量と水蒸気圧による推定はRMSE=4.1 Mj m-2 day-1であった. しかしながら積算日射量で比較すると, 雲量と水蒸気圧による推定は日照時間によるものに比べてそれほど劣っているわけではないことがわかった. モンスーンアジア各地における日射量の実測値との比較においても, 日本での推定精度とさほど変わらず, 世界気象資料の雲量と水蒸気圧を用いて, 一つの式により比較的安定した誤差範囲で温帯から熱帯までの日射量を推定できることがわかった. 従って, 目的によっては利用価値の高い資料であると思われた.
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© 2007 日本作物学会
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