日本作物学会紀事
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栽培
家畜ふんを原料とした成分調整・成型肥料の特性および葉菜類への施用
宮崎 成生吉田 智彦
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2007 年 76 巻 4 号 p. 555-561

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抄録

家畜ふんの農耕地での利用を促進するため, 生ふんを原料に成分を調整し成型した肥料を製造する方法を開発し, 肥料の性質および施用効果を明らかにした. 豚ぷんおよび牛ふんを加熱乾燥で水分を15%程度にし, 尿素, 熔リンおよび塩化カリを添加・混合後, 湿式押出造粒機でペレット状に成型した. さらに水分5%程度まで乾燥し家畜ふん肥料とした. 乾燥家畜ふんの成分および水分を基に化学肥料の添加量を算出, 計量し混入することにより, 目標の成分を含有する肥料が試作できた. ロットによる有効成分の変動は小さく, 安定して均質の肥料ができた. 本試作肥料の成分は窒素5%, リン酸5%, カリ5%程度であった. 樹脂袋に密封することにより変質なく長期保管できた. 家畜ふん肥料重は原料の生ふん重に対し1/3程度となった. 家畜ふん肥料に含有する重金属類の量は低く, 大腸菌群数は検出限界以下であった. 静置培養法(畑状態, 30°C)による家畜ふん肥料の窒素無機化率の時期的推移は, 市販の有機入りペレット肥料とほぼ同じ傾向を示した. ポットでのコマツナおよびホウレンソウ栽培では, 家畜ふん肥料の施用による発芽および生育障害がなく, 市販の有機入りペレット肥料と同等以上の収量があった.

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© 2007 日本作物学会
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