抄録
米のα-アミラーゼによる消化性と食味に関して総合的な品種評価をするために, 多変量解析法の一つである主成分分析を用い, IRRIコアコレクションを含む58品種・系統について検討した. 解析には推定グリセミック・インデックス(EGI)などのデンプン消化関連形質および糊化特性, 粗蛋白質含量などの食味関連形質を選んだ. 分析の結果, 4つの主成分が検出され, 第1主成分だけで全変動の約50%, 第1~第4主成分で全変動の約90%を説明することができた. 第1主成分は消化速度に関係すると同時に米飯の粘りの強さにも関係する変動成分であることが因子負荷量から明らかになった. また, 第2主成分は米飯の老化性に関わる主成分, 第3主成分は米のα-アミラーゼによる消化の全体量に関わる主成分, 第4主成分は米の粗蛋白質含量に関わる主成分であると評価された. 第1および第2主成分に基づいて, 米デンプンのα-アミラーゼによる消化性と米飯の物性について同時に評価することができた. さらに, EGIと要因との相関関係から, アミロース含量やRVAの最高粘度がEGI推定の際に優れた指標となることが明らかとなった. これらのことは, 低GIと食感の良さを兼ね備えた品種の育成に応用できる.