日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
作物生理・細胞工学
根群の一部切除が水稲玄米の外観品質に及ぼす影響
田畑 美奈子飯田 幸彦奥野 員敏
著者情報
キーワード: 玄米品質低下, 水稲, 背白米
ジャーナル フリー

2008 年 77 巻 2 号 p. 198-203

詳細
抄録

近年, 夏期の高温により, 背白米, 基白米および乳白米などの白未熟粒が多発し, 玄米品質が著しく低下することが全国各地で深刻な問題となっている. 本研究では, 高温条件下において背白・基白米の発生が顕著に異なる6品種を供試し, 登熟初期に水稲の根群の一部を切除する処理を行うことによって, 玄米品質がどのような影響を受けるか, また登熟歩合, 千粒重, 玄米の粒長・粒幅・粒厚, 生葉枚数にどのような変化がみられるかを調査し, 水稲の登熟期における根の活力と玄米品質との関係について検討した. その結果, 登熟初期に根切除処理を行うと, 背白米の発生が有意に増加し, 背白米発生率には著しい品種間差異がみられた. 登熟歩合, 千粒重および玄米の大きさには処理区間に有意差はみられなかったが, 成熟期に残存した生葉枚数は根切除処理によって有意に減少した. 従って本研究の結果から, 登熟期に根系機能が著しく低下した場合には, 玄米の登熟が不良となり, 背白米発生率が増加することを明らかにした.

著者関連情報
© 2008 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top