日本作物学会紀事
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品質・加工
温暖地向け硬質コムギ品種における中華麺適性と小麦粉特性との関係
藤田 雅也関 昌子松中 仁乙部 千雅子樋渡 亜土北野 順一神田 幸英宮本 啓一奥本 裕
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2008 年 77 巻 4 号 p. 449-456

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抄録

温暖地で栽培できる高分子グルテニンサブユニット組成やアミロース含量の異なる硬質コムギ品種・系統を用いて, 官能試験により中華麺適性を評価するとともに, ファリノグラムなどの小麦粉特性を調査し, 中華麺に適した品質の検討を行った. その結果, 中華麺の色とタンパク質含量の間には負の相関があるが, タマイズミなどの白粒種は, 中華麺にした際のホシが少なく, 麺の色が良好であることが明らかになった. また, 極低アミロース系統は麺になめらかさがあり, つるつるとした独特の食感がある麺が得られた. 中華麺評価で重要な項目であるゆで8分後の硬さ, 粘弾性などの食感は, タンパク質含量, ファリノグラム特性, 切断応力と高い相関関係が認められ, 生地物性が強いとゆでのびが少なく, 食感が優れる傾向が認められた. このことから, 生地物性を強くする高分子グルテニンサブユニット5+10に対応する Glu-D1d遺伝子などの導入により強力粉的な小麦粉品質を持たせることで, ゆでのびをおさえ国産コムギの中華麺適性を改善できると考えられた. また, 栽培技術により高タンパク化することでも, ある程度中華麺適性を改善できることを示した.

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© 2008 日本作物学会
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