抄録
農家圃場における夏期のダイズの水ストレス状態を簡易に把握するために,熱収支式に基準温度として水稲群落の表面温度を組み込んだ方法について検討を行い,計測例も示した.ダイズと水稲群落の蒸散速度比の補数(1−ES/ER)は,(1)ダイズと水稲群落における空気力学的抵抗が等しい,(2)水稲群落の植被抵抗は圃場間で差異がないと仮定することにより,ダイズと水稲群落の表面温度差(TcS−TcR)と水稲群落と大気間の水蒸気圧勾配(VPD*)を用いた簡易な式により表わすことができる.モデル式の感度解析の結果に基づくと,これらの仮定に伴う誤差は比較的小さいと見積もられた.2006年に福知山市夜久野町大油子集落で行った測定では,1−ES/ERの測定時間による変動は小さく,代表的な水ストレス指標であるCWSI(Crop Water Stress Index)と同程度の傾向を得ることができた.対照とする水稲群落の均一性や,ダイズと水稲群落における気象の同一性などが求められるものの,本法は農家圃場における効果的な評価手法であり,今後航空機リモートセンシングなどへの適用が期待できると考えられた.