日本作物学会紀事
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栽培
栽植密度が飼料用サトウキビKRFo93-1(Saccharum spp.hybrid)の新植での生育および収量に及ぼす影響
境垣内 岳雄寺島 義文寺内 方克杉本 明加藤 直樹松岡 誠
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2010 年 79 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

密植が種間交配で育成した飼料用サトウキビ品種KRFo93-1の新植での生育,収量および株出しでの萌芽,収量に及ぼす影響を検討した.栽植密度として製糖用サトウキビに準じた慣行区(63.6×103芽/ha)と1.5倍区(95.4×103芽/ha)や2倍区(127.2×103芽/ha)の密植区を設け,2007年と2008年に鹿児島県西之表市の農家圃場で試験を実施した.茎数は各区とも植付け後63日目(2007年),75日目(2008年)に最大となり,その後は減少した.茎数は生育期間を通して密植区で多くなったが,2007年より2008年で密植による茎数の増加効果が明瞭であった.この要因として分げつ旺盛期の日射量の違いが推察された.仮茎長は植付け後88日目(2007年), 102日目(2008年)まで密植区で有意に大きかったが,その後は処理間の差が小さくなった.密植区では1株茎数が少なかったため,仮茎長が大きくなったと考えられた.生育初期の被覆度は密植区で大きかった.植付け後177日目(2007年),160日目(2008年)に収量調査を実施したが,2年間の平均値では密植区で生草収量,乾物収量とも高かった(2倍区では慣行区よりそれぞれ15%,21%増収).また,植付け後88日目(2007年),102日目(2008年)までは密植の効果が明瞭であることから,より短い栽培期間では密植による増収効果が大きいと考えられる.密植区では株出しでの萌芽茎数,生草収量,乾物収量とも慣行区を上まわった.

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