水稲の中国産品種(津籾308,津星2号)と日本産品種(コシヒカリ,ヒノヒカリ)を供試し,除草剤および化成肥料を施用する慣行区(K区)とこれらを使用せず米糠を散布する有機区(U区)における根系特性を比較した.1次根数および総根量(総根長,総根重,総根表面積)はK区の方がU区よりも大きかったが,総根量/根数から求めた平均根量は,いずれもU区の方が大きかった.比根重(総根重/総根長)と根直径はU区の方が小さかったが,根比重には明確な差はみられなかった.U区の根は土壌表面から5cmまでの層に分布する根長の割合が高く,また,土層が深くなるに従って層別根長割合が急激に低下するため,根の深さ指数はK区よりも小さくなった.これらより,U区では多くの細くて長い分枝根が浅く分布していると考えられた.出液速度/株は,ヒノヒカリを除くとU区で小さかったが,出液速度/根数は,コシヒカリ以外はU区の方が大きかった.出液速度/根表面積のU区とK区の差は小さかった.いずれの品種においても,U区の比根重の低さと平均根表面積の大きさおよび出液速度/根数の高さはよく対応していた.したがって,U区は細い分枝根が長く伸びることで1本の根の表面積,すなわち吸水面積が大きくなり,根1本当たりの吸水量が多くなったと推測される.しかし,U区は根数が少ないために出液速度/根数の大きさが出液速度/株に結びついていなかった.