抄録
温暖地にあって水稲の早期栽培が行われている千葉県において,熟期及び草型の異なる「ひとめぼれ」及び「コシヒカリ」を,栽植密度,窒素施用量及び穂肥施用時期を変えることによって幅広い条件で栽培し,玄米品質(千粒重,乳白粒等の未熟粒割合,及び玄米中粗タンパク質含有率)の品種間差とその低下要因を,特に籾数と登熟歩合の変動に着目して検討した.2000年及び2001年に試験を行ったが,両品種ともに出穂期は7月15~20日頃で,登熟期間は一年のうちで気温が最も高くなる条件であった.両品種ともに著しい倒伏は認められなかった.「ひとめぼれ」は「コシヒカリ」と比較して籾数が多くなり,籾数の増加に伴って,登熟歩合が大きく低下して,玄米品質も著しく低下した.また,籾数が等しくても,「ひとめぼれ」の方が「コシヒカリ」と比較して登熟歩合が低かった.2001年のみの結果ではあるが,一次枝梗着生玄米と二次枝梗着生玄米それぞれの平均粒厚の分布範囲が「コシヒカリ」では重ならなかったが,「ひとめぼれ」では1.95~2.10mmの間に重なっており,かつ籾数に対する平均粒厚の変化が大きかった.以上のことから,「ひとめぼれ」では一次枝梗着生玄米と二次枝梗着生玄米との間で炭水化物の競合が大きいことが推察され,千葉県をはじめとする温暖地早期栽培において「ひとめぼれ」を栽培する場合,単位面積当たりの籾数を適正な範囲内とするとともに,二次枝梗籾数の増加による一穂籾数の過剰を避ける必要があると考えられた.