土壌過湿条件下においてダイズの出芽率が低下する要因と調湿種子による出芽の安定化について室内と圃場において解析を行った.その結果,土壌過湿条件下における出芽率の低下では,吸水障害のほかに,土壌微生物と土壌表面硬度が大きく関与していた.また,調湿種子の出芽率は,播種時の土壌水分や出芽時の土壌表面硬度が高い場合には乾燥種子と比べて大幅に向上した.しかし,播種後も土壌の過湿状態が続いた場合は調湿種子を利用しても出芽率が低下し,この場合は種子粉衣殺菌剤の併用により出芽率が改善された.圃場における出芽率の低下の要因は気象条件や土壌条件によって異なったが,多くの場合で調湿種子と種子粉衣殺菌剤の併用により出芽率が高まった.それゆえ,この両者の併用は土壌過湿条件下におけるダイズの出芽の安定化に有効である.