2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により茨城県稲敷市にある20 aの水田転換畑でオオムギに被害が発生した.この圃場では,液状化にともない直径30 cm以上の噴砂が96点で発生し,噴砂の合計面積は252 m2 (圃場全体の12.6%) に及び,そこではオオムギが消失していた.噴砂はpHが3.7~5.4,ECが0.12~0.52 mS/cmであった.圃場には標高差が最大で267 mmとなる凹凸が生じ,相対標高の低い場所では地震の直後から断続的に水たまりができ,湿害によりオオムギの生育と収量が低下した.噴砂の一部を採取してシードリングポットにつめ,グロースキャビネット内でオオムギを生育させたところ,pHが低い噴砂でも石灰を加えてpHを矯正し,施肥を行うことでオオムギが正常に生育するようになることが分かった.このため,この圃場ではオオムギ収穫後に石灰資材で土壌のpHを矯正し,レーザーレベラで均平化すれば通常の作物栽培が可能であると考えられた.