抄録
新潟県において,耐倒伏性が強いダイズ品種「タチナガハ」を用いて,ダイズの被覆による抑草効果が期待される畝立て狭畦栽培の現地実証試験を行い,ダイズの生育,収量および雑草発生量について検討した.狭畦栽培における成熟期の生育は畝立て播種栽培 (慣行) と比べて主茎長は長く,倒伏程度は微から少程度で,収穫作業に支障のない程度であった.収量は慣行並に確保され,百粒重は慣行より大きかった.ダイズ群落内の相対光合成有効放射 (相対PAR) は,狭畦栽培では播種後50日頃から雑草発生が抑制される10%以下に近い数値を示し,畝間をダイズが早期に被覆した.雑草発生量は播種1ヵ月後に生育期除草剤を散布することによって,収穫時には中耕培土を行う慣行栽培並以下に雑草量の抑制が可能であった.以上のことから,「タチナガハ」の狭畦栽培では雑草が発生し始める,播種後10日~30日頃の生育期除草剤の散布のみにより,十分な抑草効果が得られ,慣行栽培での中耕培土の作業が緩和されることで除草作業が効率化し,大規模ダイズ生産において高品質安定生産につながると思われた.