日本作物学会紀事
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連載ミニレビュー
作物研究におけるマップベースクローニング法―イネを例として―
髙井 俊之
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2015 年 84 巻 1 号 p. 93-97

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抄録

作物学とは安定的かつ持続的に高い作物生産を達成するための理論と技術を構築する応用科学であり,品種のもつ生産・利用上の特性を解明し,さらなる改良に向けて目標となる形質を同定し育種に提示することが1 つの役割である.しかしながら,昨今のゲノム研究の進展により,農業上重要である量的形質遺伝子座(QTL)のマッピングが可能となり,形質を支配する要因をQTLs として分解し,個々のQTLs の機能を作物生理レベルで解明できるようになってきた.このことは作物学の役割が,改良すべき形質の提示に留まらず,改良点をゲノム情報として育種に提示する時代を迎えつつあることを意味している.QTLs の機能を解明するには,その原因遺伝子を単離・同定することが重要であるが,そのための一般的な手法であるマップベースクローニングについて,作物学分野の研究者の視点に立った解説書は少ない.本稿では,マップベースクローニング法について著者のイネでの経験をもとに,最短でのクローニングに向けて各ステップでの留意点等を含めながらできる限りユーザー側の視点で述べる.なお,解析の端緒として,作物研究を担う研究者にとって利用しやすい染色体断片置換系統群(CSSLs)を用いた.一般的な遺伝解析材料(F2 集団や組換え自殖系統群(RILs))を用いたQTL 解析の原理については,鵜飼(1999)等を参照されたい.また,イネのDNA マーカーについては,ゲノムワイドにマーカー情報が公開済み(McCouch ら2002,IRGSP 2005)であるのでマーカーは十分に利用可能であり,冬季期間も温室でイネが栽培可能という前提で話を進める.

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