ダイズ栽培において,欠株が生じた際の個体群における収量補償作用を明らかにするために,北陸地域の水田転換畑で栽培されるエンレイに人為的に欠株を生じさせて,欠株の周辺株の整粒重を調査する試験を2ヵ年実施した.2ヵ年ともに,欠株の隣の株のみ整粒重の増加が認められたが,1株単独で欠株となった場合,両側の株の増収分は,対照区の1株当たりの整粒重の42%に過ぎず,減収を補償するには不十分であった.また,欠株の連続数の増加に伴い,隣の株の整粒重は増加傾向を示したが,増加の程度は非常に小さく,連続する欠株数が増加するほど更に減収することが示された.以上のように,収量補償作用は,1株分の減収も補いきれないことから,生育初期の湿害や播種の不備等により,少数の欠株が散在する場合でも,必ず減収することが明らかとなった.安定した収量を確保するために,欠株を避ける圃場管理が求められる.