日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
緑肥作物との混作がアマ (Linum usitatissimum L.) の生育と収量に及ばす影響
塩路 未帆堀元 栄枝中元 朋実
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2016 年 85 巻 1 号 p. 77-82

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抄録
作物栽培システムの多様化に向けて,油料アマの緑肥作物との混作を試み,アマの生育と収量について調査した.試験は播種日を2014年3月4日 (S1) と3月18日 (S2) として2回実施し,それぞれにアマの単作を対照(単作区)とし,アマとクリムゾンクローバー (CC),アカツメクサ (RC),野生エンバク (WO),シロガラシ (WM) との混作区を設けた.アマと緑肥作物は交互に条播し条間は20 cmとした.単作区,CC区,RC区では,S1播種においてCC区とRC区での低位節からの一次分枝と花序の分枝の発生が単作区より劣ったこと以外に,アマの生育,収量,あるいは収量構成要素には差がみられなかった.これに対して,WO区とWM区では単作区に比べて,アマの開花期以降の地上部乾物重が小さく,収量が低かった.この収量低下は,単位面積あたりの蒴数,蒴あたりの種子数,一粒重の値のいずれもが小さかったためであり,アマの開花以降に野生エンバクとシロガラシがアマの光環境を著しく悪化させたことが原因とみられた.以上のことから,アマをクリムゾンクローバーおよびアカツメクサと混作することによって,種子の生産と土壌への有機物や窒素の供給のバランスを図った栽培が可能と考えられた.
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© 2016 日本作物学会
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