日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
寒冷地の現地圃場における水稲の無コーティング催芽種子を用いた代かき同時浅層土中直播の作業性,苗立および収量
白土 宏之安藤 正浅野目 謙之松田 晃川名 義明片平 光彦小野 洋菅原 金一伊藤 景子大平 陽一山口 弘道
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2016 年 85 巻 2 号 p. 178-187

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抄録
寒冷地において水稲の無コーティング催芽種子の湛水直播栽培を浅層土中播種により実現するために,試作した代かき同時播種機を用いて耐倒伏性品種の催芽種子の湛水直播栽培試験を現地で実施し,作業性,苗立,収量を調査した.現地試験は,秋田県では「萌えみのり」を用いて2011年〜2014年に,山形県では「はえぬき」を用いて2013年〜2014年に実施した.本栽培法は種子コーティングと仕上げ代かきが不要なため,播種までの作業は従来の湛水直播に比べて省力的であった.播種作業時間は,平均0.32時間・人 10a-1,最小0.22時間・人 10a-1であった.苗立率は,播種後落水して浅播きの場合には平均65%と実用化が可能な値となった.圃場全体の苗立むらは背負式動力散布機による散播より小さく,鉄コーティング種子点播機と同程度であった.最高茎数は従来の直播の基準と比べると多く,半分の試験で1000本 m-2以上となった.出穂期と成熟期の乾物重は鉄コーティング直播の目標と同程度であった.倒伏程度は多くの試験で0に近かった.全刈収量は「萌えみのり」では573〜660 kg 10a-1で鉄コーティング直播と同程度,「はえぬき」では480〜688 kg 10a-1であり,倒伏と雑草害が大きかった場合を除くと市町村別収量と同程度であった.以上,本栽培法は従来の湛水直播より省力的であり,苗立,生育,収量は従来の湛水直播栽培と同等であったため,実用化が可能であると判断された.
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© 2016 日本作物学会
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