日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
北海道の秋まきコムギにおける分げつ性に関する研究
-第4報 分げつ出現時期が穂形成と収量に及ぼす影響の品種間差異-
荒木 英晴
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2016 年 85 巻 2 号 p. 218-222

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抄録

北海道の秋まきコムギ品種きたほなみでは,越冬前の出現分げつで穂数および収量がほぼ決定することが前報で明らかになった.本報では,きたほなみ,ゆめちからおよび北見91号を用いて,分げつ出現時期が穂の形成や収量に及ぼす影響の品種間差異を検討した.その結果,分げつ出現時期と有効化率との関係では,越冬直前に葉数2枚以上を有する分げつ(越冬前頑健茎)の有効化率はきたほなみが91%で最も高く,ゆめちからが80%,北見91号が76%とやや低下した.また,越冬後の出現分げつはいずれの品種も有効化しなかった.これらの分げつから形成された有効茎の稈長と穂長を調査したところ,いずれの品種も越冬前頑健茎から形成された有効茎の稈長と穂長は長かった.収量構成要素については,いずれの品種も越冬前頑健茎から形成された穂の一穂子実重,一穂粒数,千粒重は高く,収量の高い穂が形成されることが示された.以上のことから,北海道の秋まきコムギ品種では,越冬後の出現分げつは有効化できず,越冬前の出現分げつで穂数および収量が決定されると結論した.

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© 2016 日本作物学会
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