新たな需要拡大を図るため,北海道北見地域における虎豆の早期播種,べたがけ被覆および早期根切りによる早期収穫技術を明らかにした.慣行播種6月1日より9~18日早く播種することにより,出芽期は5~10日,熟莢率30%の日は5~11日早まった.播種日からのべたがけ被覆により出芽および熟莢率30%の日がほぼ4日早まった.早期播種とべたがけ栽培により子実重は 6~7%重くなり,熟莢率30%の日はほぼ播種日を早めた日数だけ早まると考えられた.なお,べたがけ被覆は期間が長いほど生育は早まる傾向にあったが,第3本葉期以降まで被覆すると生育の急激な増大のため茎が初生葉節から折れる個体が多発するため,第1~2本葉展開期までにするべきと考えられた.根切り時期は,生産者慣行の熟莢率50%を同30%に早めても子実重および粒大に大きな影響はなく,根切り時期を5~6日早くできた.虎豆の出芽に関する有効下限温度は7.1℃,有効積算温度は107.3℃であり,さらに平年の日平均気温およびべたがけ被覆で出芽が4日早まることに基づいて北見地域の主産地における晩霜害を避ける最も早い播種可能日を推定した結果,平年播種日5月31日より13日早くなった.これらの対策技術により根切り日は平年の9月19日より18~19日早まり,乾燥期間1ヶ月ののち実需が要望する10月中旬までの出荷が可能になると推察された.