日本作物学会紀事
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栽培
オオムギわらおよびその焼却灰の浸漬水中に含まれる生理活性物質の同定および定量
秀島 好知有馬 進鈴木 章弘清田 梨華
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2019 年 88 巻 2 号 p. 125-131

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抄録

北部九州の米麦二毛作における麦収穫後のわらが,水田雑草の初期発生に及ぼす影響を明らかにする一環として,わらの状態の違いが検定植物の発芽に及ぼす作用機構の解明を試みた.アレロパシー活性が強いとされるオオムギについて,生わらおよびその焼却灰の浸漬水を用いてコマツナ種子の発芽への影響を調査したところ,生わらは顕著に発芽を抑制し,わらの焼却灰ではその効果が生わらの場合と比較して劣ることが明らかとなった.この傾向は,浸漬水を作成する際の土壌添加の有無に係わらず同様に見られたことから,発芽抑制作用は土壌微生物による麦わらの分解代謝産物ではなく生わらあるいはその焼却灰から直接水中に浸出した物質の関与が考えられた.そこで,LC/TOF-MSを用いてオオムギ生わらおよびその焼却灰の浸漬水中に含まれるフェノール性物質の特定を試みたところ,5種類の物質の関与が特定できた.その中で特に (±)-2-フェニルプロピオン酸の関与が示唆されたことから,実際にコマツナを用いて発芽試験を行ったが,2 ppmの濃度でコマツナの発芽は顕著に阻害された.

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© 2019 日本作物学会
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