我が国の水田作においては,生産者の高齢化・減少が進み経営規模が拡大されること,および水稲・米の用途の多様化が進むことが予測される.従来の水田作においては,単価が高い美味しい米を家庭用向けに生産するため,耐倒伏性の劣るブランド米品種が施肥を控えて栽培されてきた.これに対して,業務用,飼料用向けには,単価は低くても多収により収益を高めることが求められ,そのためには耐倒伏性の優れる多収品種を多肥栽培することが有効である.東北地域の冷涼な気象条件は,多収・高品質・良食味の米を生産するのに適している一方で,多様な作期を設定することを困難としており,また冷害やいもち病の発生の危険性も高くしている.東北地域の大規模経営においては,ブランド米品種の栽培の空いた時間や場所を効率的に利用できる業務用・飼料用向け品種の直播栽培,疎植栽培,晩植栽培が有望である.これらの点を踏まえ,東北地域における業務用・飼料用向け水稲品種の育成・栽培技術の展望について論じた.