抄録
低温下における畑苗の活着が水苗より旺盛でちることが認められているが, これらの関係について解剖的に検討した. 根序に関する観察では畑苗の第1 (所謂第2節) 冠根数は水苗より多く, 以後の全根数 (分蘗が充分に発育するまで) は寧ろ水苗より少ないことを認めた. しかし根原基は明らかに畑苗の方が多かつた。従つて, 畑苗は初期における根数の増加によつて発根の潜在力を高めているものと考察した. また苗の葉鞘基部の澱粉は断根後の発根数の多いもの程, 少い傾向がみられた. そこでこの時期の稲では澱粉が体内で充分に活用されているのもの程, 発根力が盛であると考察した.