日本作物学会紀事
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大豆におけるauxin含量の日変化とそれにおよぼす日長処理の影響
清沢 茂久
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1960 年 29 巻 1 号 p. 163-166

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抄録
清沢・和気は先に短日処理の拡散auxin量におよぼす影響について報告した. ここでは拡散auxinあるいはether抽出auxin量におよぼす短日, 光中断および長日処理の影響についての結果を報告する. 大豆体内の抽出auxin量は自然条件下では日出後間もなく増加し, 午後最高となり, 夜間は低い, 短日条件下では曝光後間もなく増加し始め, 午後最高値を示すが, 一般に自然日長下の場合より低く推移する. 唯一回長日処理や光中断処理を行なうと, 抽出auxinと拡散auxinはともに増加する. 数日間短日光中断処埋を行なうと, 短日単独処理に比し光中断処理後の抽出auxinは顕著に増加し, その状態は数時間継続し, その後はかえつて短日処理下において高くなる. これらの事実は大豆の短日感応はauxin levelの低下を通じて現われるという可能性を示唆している. 短日感応性の少ない早生の品種も晩生の品種と同様に光中断および短日に感じてauxin量の変化を示す. したがつて大豆の花成抑制作用はauxinのみでは説明できない.
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