抄録
著者は国連FAOの稲専門技術者に任命され, 1960年4月より1961年12月に至る20カ月間マラヤに駐在し, 稲作研究所の新設, 稲作の理論と技術についての講義等をしたほかに, 土・水・稲の関係についての試験研究を依頼された. マラヤ稲作の現況から, 緊急を要すると思われるテーマを選び, 主要な品種および土壌型を用いると共に, 各種の季節に栽培し, 多種多様な実験を開始した. これらの実験は著者の離任時になお継続中のものも少なくなかつたが, この中で少なくとも2作季以上実験を反復し, ほぼ一応の結論をえられたと見られる主なものは次の諸実験であり, ここにその概要を述べた. なお詳細な報告は, その他の調査をも含めて, マレイ政府農業技術研究所特別報告(英文)として近く発刊される予定である. (I) 旱魃に関する試験, (II) 浸水に関する試験, (III) 要水量試験, (IV) 水深および水の縦横滲透が稲におよぼす影響の試験, (V) 水位の高低が稲におよぼす影響の試験, (VII) 節水栽培試験, (VIII) 土壌乾燥期間の長短が稲におよぼす影響の試験. 〔迫記〕本論文の詳細は最近Division of Agriculture Bulletin No. 112に発表されたので, 詳しく知りたい方はこれを見られたい. Division of Agriculture, Ministry of Agriculture and Co-operatives, Kuala Lumpur, Malaya,で1弗(マレイ弗, 120円)で分譲する由の通知を受けた.