日本作物学会紀事
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水稲品種の光利用効率と作期との関係
林 健一
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1967 年 36 巻 4 号 p. 422-428

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抄録
光利用効率を, 光をまず受けとめる効率(Ei)と, 受けとめた光を利用して光合成により乾物として固定する効率(Eu)とに分解すると, 乾物生産量=投下エネルギー×Ei×Euという関係が成り立つ. 水稲中生4品種を早植および普通期栽培して, 光条件が異なる場合のEiおよびEuの変化, および光利用から見た品種の生育型を決める具体的特性をしらべて次の結果を得た. 1) 全生育期間の平均Eiは59~67%, 平均Euは1.8~2.2%, 投下全エネルギーに対する乾物生産平均効率(Ei×Eu)は1.15~1.41%であつた. 2) 作期・品種を通じて, 受光日射総量と全葉積とは密接な直線的関係を示し, 葉積を大にする重要性が示された. 3) 早植は普通期より全乾物重・収量ともに大であり, これは早植の葉積および日射量が全生育期間, 特に登熟期に大なためであつた. 4) LARとLAIとは密接な正の相関関係を示し, 生育諸量の作期間および品種間差の大半は, この関係に由来していた. 5) LAR, LAIおよび収かく指数の遺伝力は高く, これらが品種の遺伝的特性であるこを示唆した.
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