抄録
イネの切断第2葉片に IAA とともに, 各種の代謝阻害剤を処理し, 葉身傾斜速度の経時的変化をしらべた. 葉身傾斜に対し, dinitrophenol,antimycin A, 8-azaguanine, puromycin, chloramphenicol および actinomycin D は, 阻害作用を示したが, 2-thiouracil と 5-fluorouracilでは阻害作用が見られなかった. 葉身傾斜速度の減少は, dinitrophenol, antimycin A, 8-azaguanine, puromycin で処理1時間後, actinomycin D で処理2時間後, kinetin で処埋4時間後にあらわれた. 阻害剤を除去したのちでも, dinitrophenol 以外の場合には, 傾斜速度がもとの速度にもどることがなかった. 以上の結果にもとづき, イネの葉身傾斜機構について若干の考察を加えた.
