日本作物学会紀事
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作物の窒素代謝に関する研究 : 第8報 水稲の溢泌液におけるサイトカイニン様物質について
葭田 隆治折谷 隆志西 荒介
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1970 年 39 巻 3 号 p. 363-369

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抄録
これまでの研究では水稲根において3種のサイトカイニン様物質が存在していることを明らかにした. 本研究ではこれらの物質の地上部への転流形態を明らかにするために, 水稲の溢泌液を採取してサイトカイニン様物質を検出するとともに,その化学的特性についても明らかにした. 1) 溢泌液はカラムクロマトグラフィーで精製され, さらにブタノール・酢酸系溶媒のぺーパークロマトグラフィーで分離された. 生物検定法による活性は, Rf 0.45~0.50 (Factor 1)と0.75~0.80 (Factor II)にみられた. 2) Factor I はプリン, リボースおよびリン酸の反応試薬ですべて陽性, Factor II はプリンとリボースの反応試薬では陽性であるがリン酸の反応は陰性であつた. さらにこれらの活性物質の紫外部吸収スペクトルはともに合成ゼアチンとよく似ていることから, Factor I と II はゼアチン関連物質であるように思われた. 3) Factor II は0.03 M ホウ酸系溶媒のべーパークロマトグラフィーで分離されたとき, その活性はRf 0.50~0.55 (Factor IIa) と0.78~0.85 (Factor IIb)の2つに分離した. Factor IIa は合成ゼアチンと Rf 値が一致し, リボーズとリン酸の反応試薬では陰性であることからほぼゼアチン様物質と推定された. またFactor IIb はゼアチンのRf値とは異なつているがリボーズの反応試薬では陽性であることからゼアチシリボシドと推定された. 一方, Factor I はアルカリンフォスファターゼで処理すると Rf 0.75~0.80に活性が移動し, Factor IIb のRf値と一致することからゼアチンリボチドと推定された. 以上の結果から,水稲の溢泌液にみられる3種のザイトカイニン様物質は, Miller によりトウモロコシの未熟種子から分離されたゼアチン,ゼアチンリボシドならびにゼアチンリボチドと類似しているように思われた.
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