日本作物学会紀事
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作物の窒素代謝に関する研究 / 第9報 数種のイネ科植物の未熟種子における(+)-アブサイシン酸の同定について
折谷 隆志折谷 隆之
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1971 年 40 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

イネの幼苗の生育テストによると, チシマザザ, イネ,マダケ, エノコログサなどのイネ科植物の未熟種子においては, ぺーバークロマトグラムのRf0.7~0.8の所にアブサイシン酸活性を示す物質が認められた. これらの植物の中でチシマザサの未熟種子においてアブサイシン酸活性が最も高いことが観察された. さらに, このチシマザサの活性物質を活性炭を用いたカラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィーで精製し, ガスクロマトグラフィーにより, (+)-アブサイシン酸と同定することができた. また, このアブサイシン酸は薄層プレート上で5%硫酸と加熱すると紫外線下で青緑色の螢光を発することを利用して, チシマザサ, イネ, マダケ, エノコログサなどの活性物質を調査してみると, 上記4種の植物に共通して, (±)-アブサイシン酸と全く同様の所に青緑色の螢光が認められた. これらの結果からイネ, マダケ, エノコログサなどにおいてもアブサイシン酸が存在するものと推定される.

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