タバコ葉を用いて凍結法により耐凍性および浸透圧の測定を行なつた. 急冷槽で過冷却の破れたところで緩冷槽に移す方法により凍結点は安定して測定できた. 第1回凍結点は生体の耐凍性の指標と考えられ, これを凍結・融解して測定した第2回凍結点は搾汁液の浸透圧計による浸透圧にほぼ一致した. 両者の差は耐凍性の中でコロイド結合水による効果とみなした. 両凍結点とも一般には葉の成熟にともない低下の傾向を有するが, 移植前後の耐凍性の比較では移植前の苗は本圃初期のものにくらべ, けつして低くはなく, 浸透圧は低いがコロイド結合水による効果が比較的大きい傾向を示した. 土壌水分を変えた実験では低水分区で明らかに耐凍性・浸透圧とも著しく上昇した. しかし葉水分の等しい場合に換算すると浸透圧には差がなくなるのに対してコロイド結合水の効果はなお大差を示した. 一方,短期処理で摘葉の水分を変えた実験では浸透圧は葉水分の変化にともなう理論曲線によく合いコロイド結合水の効果にはあまり変化がみられなかつた. したがつて, 葉水分の変化が長期的に起つても短期的に起つても, いずれの場合も浸透圧は水分量に反比例的に変化し溶質の量はほぼ一定に保たれると考えられるのに対して, コロイド結合水の効果は短期的な葉水分変化には関係せず, 長期にわたる水分欠乏によつて著しく上昇するものであると考えられる.