日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
イネ幼芽の中茎の伸長に及ぼす高温処理の影響 : 第2報 中茎および鞘葉の伸長と培養温度
井之上 準日比 克彦伊藤 健次
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 40 巻 2 号 p. 178-182

詳細
抄録
前報においては, 種子を高温処理することによって暗黒下(30℃)におけるイネ幼芽の中茎の伸長は著しく促進されるが, これは主に中茎の柔細胞の細胞数の増加によっていることが, 日本型水稲“ホウヨク"を用いて明らかにされた. ここでは, 日本型水稲“ホウヨク"と“日本海"の2品種を用いて, 種子の高温処理と中茎および鞘葉の伸長を培養温度(16~34℃)との関係で実験した. 種子の消毒や高温処理の方法, および材料の固定やミクロトーム切片の作成方法などは, ほぼ前報2)と同様であった. 結果の概要はつぎの通りであった. 1) 種子の湿潤・高温処理(25℃で14時間浸種後,40℃で10日間)による中茎の伸長促進は, 全培養温度下でみられた. なお中茎の伸長促進の程度は, 培養温度が高いほど大きかった. 一方, 鞘葉の伸長は培養温度18~30℃の範囲内では促進されたが, 34℃では著しく抑制された. 2) 中茎の伸長は高温処理の期間が長いほど(最高18日間処理)促進されたが, 鞘葉の伸長は高温処理8日間でほぼ一定となった. 3) 培養温度の高低にかかわらず, 高温処理による中茎および鞘葉の伸長促進は, 主に細胞数の増加に起因しているようである.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top