日本作物学会紀事
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生育時期および生育条件による水稲の内生ジベレリンの変化
長田 明夫菅 洋渋川 三郎野口 巌
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1973 年 42 巻 1 号 p. 41-45

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抄録
生育時期および生育条件による水稲農林29号の酸性酢酸エチル分画における内生ジベレリン活性の変化をしらべた. 茎葉中のジベレリン含量はおおむね生体100g当り0.1~0.4μgの間にあり, 最高分けつ期の約15~20日前頃に最大に達し, 以後9月初めの出穂期にむかつて漸減した. 穂のジベレリン含量は出穂の数日後に著しい急増を示し生体100g当り約0.5μgに達したのち急激に減少した. 遮光や高温処理のように生長量を増加させる処理を加えるとジベレリン含量は増加し, 窒素欠乏処理のような生長を減退させるような処理によりジベレリン含量は減少した. また, 乾燥種子にはジベレリン活性は検出されないが, 吸水4日目頃より活性があらわれ, 次の4日間に活性は著しく増大した. これらのことから, 水稲の生育に内生ジベレリンが重要な役割をはたしているものと推定される.
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