日本作物学会紀事
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大豆葉同化速度の品種間差異の生ずる機作 : 第2報 光化学活性と暗反応活性との相対関係の品種間差
渡辺 巌
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1973 年 42 巻 4 号 p. 428-436

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抄録
間けつ光下での大豆個葉の同化速度を測り, 光化学活性と暗反応活性との相対関係の品種間差および飽和光下同化速度と光化学活性との関係を調べた. また暗反応活性と飽和光下同化速度との関係を推定した. その結果次に示す諸点が明らかにされた. 1. 連続飽和光下での同化速度品種間順位は, Harosoy>ワセコガネ>シロメユタカ>しなのめじろ>農林1号>YL-2-1であった. この順位は前報の順位とほぼ一致した. 2. クロロフィル突然変異系統のYL-2-1では, 光化学活性/暗反応活性の比が正常品種に比して明らかに小さかった. 3. 正常品種では両活性の相対関係の品種間差はほとんど認められなかった. すなわち, 光化学活性の高い品種は, 概してその暗反応活性もまた高い傾向があるものと推定された. 4. 光化学活性の指標の一つとして測定したmaximum flash yieldと飽和光下同化速度との間に正の相関関係が認められた. この結果は, 光化学活性の指標の一つとして, クロロプラストのHill活性を測定した前報の結果と一致した. 5. 暗反応活性と飽和光下速度との間にも正の相関関係があることが推定された.
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