日本作物学会紀事
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作物における二酸化炭素純同化量より乾物重への換算率 : 第3…報 水稲
渡辺 巌
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1975 年 44 巻 4 号 p. 409-413

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抄録
水稲ニホンマサリを供試し, 播種後2週間おきの個体乾物重および個体炭素重の増加量を測った. これらの数値をもとに次式により二酸化炭素純同化量から乾物重増加量を推定するための換算率を算出した. 換算率=ΔW(ΔC×CO2/C)-1 ただしΔW, ΔCはそれぞれ考慮の対象とする期間内の個体乾物増加量および個体炭素増加量である. 1. 換算率はほとんどの場合0.66又は0.67であったが, 幼植物では若干高く0.68又は0.69であった. また対象期間に登熟期が含まれる場合には, 換算率は0.57から0.67の間を変動した. 2. 登熟期における換算率の変動は, 主として個体乾物増加量の玄米への分配率に依存した. 分配率が高まるにつれ換算率は低下し, 分配率(X)と換算率(Y)との関係は下記の一次式により近似された. Y=-0.037X+0.671 3. 玄米は諸器官のなかで炭素含有率が最も高かったが(45.5%), 大豆子実(51%)や落花生子実(61%)と比較するとかなり低かった. 二酸化炭素100gは玄米約60gと当量であった(大豆子実53g, 落花生子実45g)
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