抄録
小胞子初期前後に冷温処理をおこなってタペート肥大をおこさせ, それを電子顕微鏡で観察した。観察された肥大はつぎの4型に分類された: 1. 1次壁のある丘状肥大, 2. 1次壁のない丘状肥大, 3. 炎状肥大, 4. 風船状肥大。タペート細胞の葯腔側に1次壁のある時期においては, 肥大はすべて丘状であった。この1次壁が消失して以後に他の3型(1次壁のない丘状, 炎状, 風船状)が観察された。これら3型は, 丘-炎状および風船-炎状などの中間型を介して連続的であり, 細胞質の微細構造も共通している。