抄録
ホップ(Humulus lupulus L.)のルプリン腺の形態に関しては, 江原氏の優れた図譜により, その発生・生長などについて知ることができる。本研究では, 臨界点乾燥法と走査電子顕微鏡をもちいて, 花被についたルプリン腺を観察し, その表面微細構造につき新しい知見を加えることができた。花被の基部には毛茸が見られた。ルプリン腺表面に多くの溝があり, そのなかには多くの球形顆粒が見られた。この顆粒は, 大きなものでは直径が2μm以上に達した。江原氏の示したようなルプリン腺の形態変化が, 走査電子顕微鏡においても観察された。すなわち, 中央部の突起が著しくなり, 先端が伸長した状態となるものが見られた。この場合には, 球形顆粒の観察されないものがあることから, ルプリン腺の成熟と球形顆粒の消失との間に, 一定の関係が存在することが期侍できる。これらの課題については, 今後の研究によって明らかにしたい。