日本作物学会紀事
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水田における炭素循環に関する研究 : 第3報 水稲の物質生産と太陽エネルギーの利用
山岸 徹岡田 謙介林 哲司玖村 敦彦村田 吉男
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1980 年 49 巻 2 号 p. 232-242

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抄録
水稲の物質生産,炭素収支,日射エネルギー利用効率,乾物の炭素,熱含量について調べ次の結果をえた. 1. 乾物の炭素,カロリー含量は器官,生育時期により大幅に変動した. 個体全体,全生育時期の平均値は35.2%,3.69Kcal/gであった. 2. 乾物から粗灰分を差引いたものをベースとしたこれらの含量はかなり一定で平均値はそれぞれ42.6%および4.48Kcal/gであった. 3. 炭素1g当たりのカロリーはほとんど一定で,平均10.5Kcal/gCであった. 4. 炭素であらわした水稲の現存量は生育に伴い増加し,最終的には576gC/m2となった. 穂に含まれる炭素の量は成熟期において198gC/m2であった. 5. 総生産速度(Pg)は7月下旬に最大値17.1gC/m2/日に達し,以後下降した. 純生産速度(Pn)は同じ時期に最大値8.6gC/m2/日に達した後,下降したが,8月上旬から成熟期までの下降はごくゆるやかで,ほとんど一定の値を保った. 6. Pn/Pg比は生育初期の約1.5か月は60~77%であったが,後急減し,8月上旬には31%まで下落した. しかしその後上昇に転じ成熟期には約60%に達した. 生育中期におけるPn/Pg比の低さはこの時期の高温に,後期におけるこの比の増大は温度の下降にもとづくことが示唆された. 全生育期間のPn/Pg比は49%であった. 7. 投下された全日射エネルギーをべースとした純生産へのエネルギー利用効率は最大2.33%,全生育期間の平均は1.33%であった. 8. 植物に吸収された光合成有効放射のエネルギー変換効率(総生産への)は最大11.4%,全生育期間の平均8.59%であった.
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