日本作物学会紀事
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バレイショ交配分離集団における根系と塊茎収量との関係
岩間 和人中世古 公男礒田 昭弘後藤 寛治西部 幸男
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1981 年 50 巻 2 号 p. 233-238

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抄録
バレイショ交配分離集団(268系統)における根系と塊茎収量との関係を明らかにするため,地上部最大期(7月下旬)に部位別乾物重(葉,茎+ストロン,根および塊茎)ならびに形態的形質を,また収穫期には塊茎乾物収量とでんぷん価を調査した. 1. 各調査形質において分離集団内に大きな表現型変異が認められた. 形質間の関係をみると,根乾物重(根重)は葉重および茎重と,r=0.68およびr=0.80の高い正の相関関係を示し,根,葉および茎の大きさは相互に密接な関係を示すことが明らかとなった. 形態的形質のうち,根茎,茎長,分枝数はこれら部位別乾物重と正の相関関係を示し,一方根数は茎数および地上部最大期塊茎乾物重と密接に関係していた. また,葉,茎および根重の大きな系統では塊茎収量が高く,生育日数の長いことが認められた. 2. 分離集団を6つの熟性群に分類し,形質間の相関関係を検討した. 平均根重と平均生育日数および平均塊茎収量との間に,それぞれr=0.99およびr=0.95の非常に高い正の相関関係が認められた. 晩生群の系統は早生群の系統に比較し,根重が大きく,葉重に対する根重の割合が高く,そして塊茎収量が大となることが明らかとなった. 3. 同一熟性群内における形質間の関係をみると,熟期の等しい系統間に認められる塊茎収量の差異は,早生群では根重および葉重の差異と関係していた. しかし,晩生群では塊茎収量と根重および葉重との間に有意な相関関係が認められず,塊茎収量の差異は単位根重ならびに単位葉重当たりの乾物生産量の差異に起因するものと推察された.
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