日本作物学会紀事
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コンニャクの光合成,呼吸および球茎乾物重に対する遮光の影響
三浦 邦夫長田 明夫
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1981 年 50 巻 4 号 p. 553-559

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抄録
コンニャクの光合成特性ならびに球茎乾物生産に及ぼす遮光の影響を明らかにする日的で,5段階の光条件下でホット栽培し,葉面当たり光合成能力・呼吸,葉面積ならびに球茎乾物重を測定した. 得られた結果はつぎのごとくである. 1. 光飽和点は自然光区・遮光区とも,開葉後,はじめは20klx位,約1ケ月後は40~50klxと推定された. 2ヶ月後以降ではいずれも再び低下し,自然光区20klx位,25%遮光区は20~30klx,強度遮光区は30~40klxであった. 2. 光台成能力は開葉後10間で著しく増加し,20日後位に最大(10mgCO2/dm2/hr)となり,高い値を維持する期間は遮光区で長かった. 一方,呼吸は開葉直後に大きく,20日後までに減少が著しく,全生育期間を通して遮光区は自然光区より小さかった. 3. 光合成の最適温度は22℃前後で,17~27℃の間でほぼ最大値に近い値を示した. 一方,呼吸は22~37℃にわたって温度の上昇に伴い直線的な増加を示し,その〓1Oは1.65であった. 4. 葉面積は開葉後40~50日でおおよそ最人となり,その後50%以上の遮光区は葉面積の減少はみられなかったが自然光区,25%遮光区は減少した. 球茎乾物重は50%遮光区が最も大で,60%遮光区がこれよりわずかに小さく,ついで70%,25%遮光区で,自然光区が最も低かった. また球茎乾物重は最大葉面積との間に高い正の相関がみられた. 以上のことから, コンニ寸,クは光合成の面でも陰生的性質をもつことがうかがえた. さらに,球茎乾物重が遮光下で高まる要因として, 1) 光合成能力は高く保たれ,呼吸は小さいこと, 2)葉面積の減少が抑制されること, 3)葉温を低く保つことなどが考えられた.
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