日本作物学会紀事
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大豆の群落構造と収量成立過程の解析 : 第6報 草型が異なる場合の子実生産特性と栽植様式, 密度反応
国分 牧衛渡辺 和之
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1982 年 51 巻 1 号 p. 51-57

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抄録
主茎あるいは分枝の有無による対照的な2つの草型-主茎型と分枝型-における子実生産特性を, 異なる栽植様式および密度条件下で検討した. 主茎型は分枝を切除することによって, 分枝型は摘心することによって人為的に作出し, 標準型(無処理)と比較した. 主茎型は分枝や標準型に比べ, 密植条件でも葉面積指数(LAI)が増大しやすく(第1図), しかもLAIの増加に伴う純同化率(NAR)の低下程度が小さかった(第2図). その結果, LAIの増大に伴う個体群生長速度(CGR)の増加は主茎型において顕著であった(第2図). 開花期間におけるCGRの増大は主茎型では単位面積当たりの英数を顕著に増大させた. 単位面積当たりの莢数は草型にかかわらずLAIが約5.5まではLAIの増大に伴って増加したが, それ以上のLAIでは主茎型においてのみ増加した(第3図). 疎植では草型にかかわらず狭畦ほど多収であったが, 密植では草型によって栽植様式に対する反応が異なり, 草型に応じた栽培管理の方向性が示された(第2表). 密植に伴う栄養生長量の増大は主茎型では効率良く子実収量を増大させたが, 分枝型では粒茎比の低下が大きく増収効果は小さかった(第4図). このように, 主茎型の特性ほ密植, 狭畦栽培のような栄養生長量の増大しやすい条件で安定多収を示すものと思われた.
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