抄録
4品種のコムギを用いて, 7日目および8日目の幼苗の, 緑葉ならびに軟白葉の葉肉細胞から, プロトプラストを分離する方法を研究した. 分離のためには, セルラーゼ4%, ペクトライエースY-23の0.1%およびマニトール0.5Mを, 1.2mMの塩化カルシウム溶液またはCPW溶液(pH5.8)にて調整した処理液が, 最も良かった. 他の処理液で17時間も要した分離時間を, この処理液では, 4時間に短縮できた. また葉片生体重1g当り, 1×106個のプロトプラスト収量を, 得ることができた. 螢光顕微鏡観察で, 分離直後のプロトプラストの約85%が正常であり, また6時間から18時間培養したのちに, 細胞壁の再生が開始されることがわかった. 細胞分裂をおこしたと考えられる状態のものは, 3%以下であった.