抄録
日本稲, インド稲およびインド稲半矮性二十数品種を供試し, ライシメーター法によって収穫期乾物重に対する分げつ期から収穫期までの積算水消費量を検討した. 地上部乾物重当たりの水消費量には明らかな品種間差異が認められ, インド稲, インド稲半矮性, 日本稲の順に小さくなった(Table 3). 次に, 日本稲およびインド稲4品種を選び, ポット水耕法により分げつ期と穂ばらみ期に2週間の乾物増加量と水消費量を測定し, 要水量を算出した. インド稲の要水量は日本稲と比較して明らかに大きく, その差異は水消費量に起因していた(Table 4). 上記の結果を確認するため, ポロメーター法により葉身の蒸散抵抗の品種間差異を検討した. インド稲, インド稲半矮性の蒸散抵抗は日本稲の約半分であり, 単位葉面積当り蒸散速度が高いことが確認された(Fig. 1, Table 5). 以上の結果は, 日本稲とインド稲が水分代謝の上で生理的または形態的に異なる機構を有することを示唆するものである.