日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
雑穀類の栄養器官および通導組織間の量的相互関係 : 第1報 要素構造からみた雑穀類の形態
中元 朋実山崎 耕宇
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 57 巻 3 号 p. 476-481

詳細
抄録
8種類の雑穀類を対象に, 主茎上に形成される要素ごとに, 葉, 茎, 根の大きさや数が, 要素の順に向頂的にいかに変化するかを定量的に観察した(第1, 2図). 各作物の出葉と出根は直線関係で示される規則性を保ちながら進行した(第1表). いずれの作物においても, 葉身長, 葉身幅, 葉鞘長, 節間長および茎直径は, 低位の要素から向頂的に順次増加して極大あるいは最大値に達し, さらに高位の要素では減少傾向に転じた(第3図). 葉鞘長, 節間長, 葉身長, 葉身幅は, この順に相対的に高位の要素において最大(極大)に達した。1次根の数と直径はともに, 出根の認められた要素を通じて向頂的に増加した(第4図). 各作物のすべての要素は, 上記した要素諸形質の向頂的な推移の様相, とくに節間の伸長を基準にして, 第1, 第2, 第3の3つ(シコクビエでは2つ)の要素群に分割することが可能であった。要素の諸形質の向頂的な変化は, いずれの作物においても基本的には同一であったが, 諸形質の向頂的な変化の程度によって, 8種の雑穀類を一つの系列に並べることができた。諸形質の向頂的な推移は, 器官間にみられる生育秩序によって規定されている側面が強いのではないかと推察された。
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top