日本作物学会紀事
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水稲2, 3次分げつの止葉葉位の識別と1, 2次分げつの出穂特性
松崎 昭夫中元 朋実町田 寛康
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1991 年 60 巻 3 号 p. 434-440

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抄録
主稈の止葉葉位が既知であれば, 下葉が枯死・脱落してしまっていても次の性質と手順により, 2-4次分げつの止葉葉位を識別することができた. 基本的性質:葉(分げつ芽)はほぼ互生, 葉鞘の巻方向も左右交互, 左(右)巻の葉鞘着生節から出現した分げつの第1葉の葉鞘は左(右)巻を示す. 調査手順:1次分げつ群に分解した偶数葉位の分げつ群を主稈の右側に奇数葉位の分げつ群を主稈の左側に置くと, 主稈の止葉葉位が奇数で葉鞘が右巻(または偶数葉・左巻)の個体の1次分げつの第1葉の分げつ芽は上向きに出現し, 2次分げつの第1葉の分げつ芽は主稈の側(内側)を向く. 同様にして, 主稈の止葉葉位が偶数で葉鞘が右巻(または奇数葉・左巻)の個体の1次分げつの第1葉の分げつ芽は下向きに出現し, 2次分げつの第1葉の分げつ芽は主稈の側(内側)を向く. この方法で, 森田早生および農林1号の2, 3次分げつの葉数と分げつ次位・節位別の出穂日を調査した結果, 高次分げつの葉数はより低次位のそれよりも多くなる傾向があること, 森田早生の主稈はどの1次分げつよりも早く出穂し, 農林1号の中位の1次分げつは主稈よりも早く出穂すること, 2次分げつの出穂は葉数増に伴って遅れることなどが明らかにされた.
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