イネ8品種をポット栽培し, 1穂穎花数と茎葉諸形質に対する, 比較的低濃度(5 ppm)のジベレリン(GA3)投与の影響を調査し, 1穂穎花数の品種間差異について考察を加えた. GA3は, 栄養成長期より出穂期まで毎週1回噴霧した. 供試8品種の1穂穎花数は, 無処理の場合に, 1次枝梗あたり穎花数と最も高い正の相関関係を示し, ついで, 第1節間直径と正の相関関係にあった. そして, この関係はジベレリン投与を行った場合にも全く同様であった. 個々の品種についてみると, 1穂穎花数に対する投与ジベレリンの効果には明らかな品種間差異がみられた. 投与ジベレリンにより1穂穎花数が非常に増加した品種に共通の性質として, 第1節間直径の増加があげられ, また, これらの品種では1次枝梗あたり穎花数または1次枝梗数の増加がみられた. したがって, ジベレリン投与により1穂穎花数が増加した品種においては, 無処理の場合に1穂穎花数に品種間差異をもたらしている要因に対して, 投与ジベレリンが正の効果を及ぼし, 1穂穎花数が増加したと考えられた. 投与ジベレリンが1穂穎花数に対し全く効果を示さなかった場合もあり, 投与ジベレリンに対する1穂穎花数の反応性に品種間差異がみられたことは, 内生ジベレリンの1穂穎花数決定における役割にも品種間差異があることを示唆していると考えられた.