日本作物学会紀事
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サトイモの連作障害とそれに関与する要因
続 栄治島崎 敦ナイバルレブ ロサバティ ウルカラ富山 一男
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1995 年 64 巻 2 号 p. 195-200

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抄録

サトイモは宮崎県における主要な作物であり, 需要の増加と共に生産量も増えている. これに伴い栽培農家ではサトイモの連作障害の発現が問題となってきている. 本研究ではサトイモの連作障害の実態を調査すると共に, 連作土壌の理化学性, 土壌線虫, およびサトイモ由来の生長抑制物質について分析・調査した. サトイモを5年連作すると地上部の乾物重および塊茎収量は著しく低下し, 初年度作に比べ地上部乾物重において50%, 塊茎収量においで59%それぞれ低下した. サトイモ連作区と輪作区における土壌について分析した結果, 両者間に土壌の理化学性および線虫数について明瞭な差異は認められなかった. サトイモ地上部(茎葉)およびその連作土壌を水ならびにメタノールで抽出し, その抽出液について生理活性を検討した結果, これらの抽出液はダイコンならびにカブの初期生育を著しく抑制することが認められた. 以上の結果から, サトイモの連作障害はサ卜イモ由来の生長抑制物質と密接に関連しているものと推察した.

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