日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
北部九州における水稲湛水直播栽培に関する研究 : 第2報 幼苗期の冠根の太さによる耐倒状性の評価方法
尾形 武文松江 勇次
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 65 巻 3 号 p. 502-508

詳細
抄録
北部九州において耐倒伏性を付与した直播用良食味品種を育成・選定するための効率的な早期選抜方法の確立を目的として, 幼苗期の冠根の太さと耐倒伏性との関係を明らかにし, 幼苗期における冠根の太さによる耐倒伏性の評価方法を検討した. 播種後18日の幼苗期の冠根の太さは, 出穂後15日頃の冠根の太さと高い正の相関関係を示した. 播種後18日, 20日および30日の冠根の太さは, 湛水直播栽培における倒伏程度と負の, 押し倒し抵抗値と正の相関関係を示した. 一方, 播種後10日および12日の冠根の大さと倒伏程度および押し倒し抵抗値との間には一定の関係は認められなかった. さらに良食味品種を多数供試した場合においても, 播種後30日の冠根の太さは倒伏程度および押し倒し抵抗値とそれぞれ負と正の相関関係を示した. これらの結果より, 播種後18~20日および30日の幼苗期における冠根の太さを計測することにより, 湛水直播栽培での耐倒伏性の評価が可能であることが判明した. よって, 耐倒伏性の優れた良食味品種の効率的な早期選抜の可能性が示唆された.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top